会社の仕入れは増税後の方が得になる?社会人として知っておきたい知識。

増税の時期がやってきました。みなさんも買いだめをしたり、高額のものなど買われたりしているでしょうか。

最近、会社で「10月に増税があるから9月中に余分に仕入れしとかなきゃ!」という声を聞いて、何やら勘違いされている方がいる気がしました。

今回はそんな増税による企業への納税の影響に関して簡単なお話をします。

消費税の増税に関して

出典:財務省

みなさんご存じの通り、2019年10月1日より、消費税増税(8%→10%)と軽減税率制度が導入されます。(軽減税率に関しては反響があった場合に記事を追加することにします)これはワニの口(鰐の口)の問題と言われるように増えてきた国の歳出を新たな歳入で補うためとか、そんな話もあるのですが今回はシンプルに増税が与える企業への影響のみに着目します。

私生活では増税で困る問題は値上げになりますよね。個人の話では10月に買うよりも9月に買った方がお得なものが多いわけですから、駆け込み需要なんてのも出てくるわけです。さらに増税後には便乗値上げするところも出てきて個人の消費額はより大きくなることも見込まれます。企業側も便乗値上げするぐらいだからやっぱり企業自体も負担が大きくなるのでは?と思われる方もいると思います。しかし、企業の利益に消費税は関係ないので企業側の負担は増えません。増税しているのに企業の利益に影響が無いとは一体どういうことでしょうか。

増税が企業の納税に影響を与えない理由

実は企業が納める消費税というのは、顧客からもらった課税売り上げにかかる消費税額になります。簡単に言うとお客さんが払ってくれた消費税を国に納めるのです。免税事業者といって、原則的に基準期間(前々年度)における課税売上高が1,000万円以下の事業者は免税となることや、非課税を取り扱う業種については敢えてここでは深く触れません。

では、企業が仕入れなどで支払う消費税は納税しないの?という話になります。その通りです。納税しないどころか、課税売上にかかる消費税から差し引きます。つまり、会社が国に納めるべき額は(お客様から預かった消費税)-(仕入れで使った消費税)になります。だからいくら増税で税込仕入れ額等が大きくなろうと、最終的には納税額には直接含まれないので負担にはならないのです。これはわかる人には当たり前の話ですが、どうやらわからないで仕事している方もみえるようです。

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具体的な計算式

10%のみの消費税の話をします。10円(税抜)で1本鉛筆を買って、100円(税抜)でお客様に売りつけたと考えてください。お客様に商品を売って10円消費税をもらい、その仕入れのために企業が1円の消費税を払っているので差額の9円を税務署に納めるということになります。実際にはお客様に110円(税込)で売って、その商品の仕入れに11円(税込)かかっているような実例になるでしょう。

(課税売上100円×10%=消費税10円)


(課税仕入れ10円×10%=消費税1円)


(消費納税納付額9円)

上記の実例に要素を加えてもっと細かい話をします。上の商品を作るのに必要な設備にさらに20円の消費税を払っていた場合はどうなると思われますか?例えば鉛筆削り200円(税抜)を使って削った鉛筆をお客様に100円(税抜)で売った時の場合です。設備投資にかかった消費税はどのように扱われるのでしょうか。答えは以下のようになります。

(課税売上100円×10%=消費税10円)


(課税仕入れ10円×10%=消費税1円)


(設備備投資額200円×10%=消費税20円)


(消費納税納付額-11円)※国から11円還付

なんと国から余分に消費税を払っているということで、企業に11円戻されます。要するに、仕入れや設備投資等で払った消費税によって一時的に企業のお金は減るものの、最終的に返ってくるので、消費税は事業(企業)の利益には影響はないということになります。結局支払うもののみに焦点を当てると、お客様から預かる消費税分が消費税納税に大きく関係するということです。ここが理解できるようになると、会社では増税で慌てて購入しなくても問題ないことがわかります。(軽減税率が関わると話が少しややこしくなるので取り除きました)

タイトルの答え

仕入れの消費税が8%で、商品を売った時の消費税が10%の場合は、ただ単に課税仕入れの消費税が8%の計算に置き換わるだけです。原則、顧客から預かった消費税から、自分が支払った消費税を引いた金額を納税するという計算は変わらないわけですから。会社で仕入れや設備投資をするのであれば、増税するから先に買っておかなきゃという考えはよほど大きな買い物でない限り間違いでしょう。(先行納税の小額化)一番考えなければならないのは、増税後に税抜き額が値上げされているかどうかということです。全て税抜き額で値上げになる前に購入してくださいというお話でもあります。

タイトルの「会社の仕入れは増税後の方が得になる?」の答えは「場合によってはイエス」です。初期の消費税としての支出額が多くなるデメリットがありますが、売上の消費税分が同額なら増税後の方が納税額は少なく済みます。(貯金的考え)しかし、このように仕入れや設備投資で増税後のほうが差し引かれる額が大きいから明らかに得なんて考えは少し違います。ようは先に消費税を払うかどうかという話だけで、購入時に多く消費税をプラスで使ってるという点はマイナスです。仕入れで最初に支払うお金をほんの少しでも節約したければ、個人と同じで8%で購入した方がいいです。これは一長一短だと考えています。結論、消費税に関しては利益計算に関わらないので増税は気にしなくていいということになります。(お金が無い場合を除く)唯一、間違った考えは「増税するから会社でもいつもより余分に買いだめしておこう」です。計画的に問題がないかどうか今一度見直してみてくださいね。

まとめ

  • 個人は消費税によってお金を支払う額が増額する
  • 企業は売上に関与する仕入れや設備投資にかかる消費税は納税しない
  • 企業が納税するのは顧客から預かる消費税から、仕入れや設備投資に係った消費税を差し引いたもの
  • 企業は増税があっても基本的に損はしない(売上が減る場合を除く)
  • 会社では、増税ではなく税抜き額の値上げの方に着目して仕事すべし
  • 会社では増税するから多めに買いだめしておこうは間違え(支出計画が考慮されている場合を除く)

 

まとめ項目の(売上が減る場合を除く)に関してですが、増税によって顧客が減少することで初めて企業は損をします。そのためにどのような企業努力をするのかが各事業の見せどころとなります。消費税の影響を受けて負担を被るのはエンドユーザーのみだと理解していただければと思います。あくまで顧客・個人単位の話をしています。

感想

これは恥ずかしながら自分の会社での話になります。意外と経営者でも理解していない人もいるものです。経理や担当税理士がしっかりしていれば「会社のもの増税前に買いだめしなきゃ!」なんて謎の支出を防げると思います。そんなに滅多にあることじゃないからこそ、社員もこういった事情まですべて把握できているとは限りません。増税前に税抜き状態で値上げされるもの以外の無駄な購入は控えましょうね。

ちなみに、個人の消費が少なくなる可能性を考慮すると便乗値上げはしてもいいことはありません。ただでさえ増税で値上げしているようなものですので。もし、商品に強いブランド力などがあり、増税後も顧客を獲得し増やし続けられる見込みがあるのであれば問題ないと思います。便乗値上げに関してはこちら(消費税増税で便乗値上げはしてもいいの?)に詳しく解説してあるので興味あればご一読ください。また、会社はこの仕組みを利用すると、人件費と業者への依頼額が税込で同額なら業者へ頼んだ方が得をするといった場合もあります。事業の売上に必要なものに関する消費税であれば、納税する額から差し引けるためです。無いとは思いますが要望等があれば記事にしようかと思います。企業の非課税の計算に関して詳しく知りたいのであればこちらのページ(消費税で損する会社と、消費税で損しない会社)をお勧めします。

しかし、不思議なことに現にとある業界の方針を決める一般社団法人などでは増税に関して顧客を減らすような指令が下ったりしています。その内容は、なぜか増税前に支払いが完了したものでも、増税後にお客様がサービスを利用されるのであればきちんと後にお客さんから増税した消費税分を貰うように、などの指示です。お客様は事前の買い切り商品だと思っているものを、増税後もサービスを利用するのだからその分後から余分に請求しろってことです。それだったら増税前からその分、余計に料金をいただくよう先に配慮するべきだったはずです。こういったケースに対してはいくら業界の上層部からのお達しでも、言う事を聞かない会社もあるようです。

日本の中でも増税だけで結構混乱しているところありそうですね。軽減税率とかもっともっと厄介なことがいっぱいあるのですが・・・。こちらは持ち帰り食品を売る業者のみでなく、会社内の事務でコーヒーなど8%の商品を購入した時にも関係ある話だってのはもし機会があればいつか記事にしましょう。国民全員が理解できない仕組みを作ってしまうなんて、おかしいよ日本。本当にどうでもいい話ですが、この記事内で理系として恥ずかしい計算式の書き方をした自分はもう数学の師匠に顔向けできません。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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