2012年の花粉 : 昨年の3倍
2013年の花粉 : 昨年の3倍
2014年の花粉 : 昨年の3倍
2015年の花粉 : 昨年の1.5倍
2016年の花粉 : 昨年の4倍
2017年の花粉 : 昨年の6倍
2018年の花粉 : 昨年の3倍
2019年の花粉 : 昨年の6倍今年は2011年の花粉の17496倍飛散するということですな(´-ω-`) pic.twitter.com/8TBj1D6XSZ
— 竜騎士ライムlv.07@UberEATS配達員 (@ubershinagawa) February 20, 2019
来ましたよ。花粉の季節。
2020年は昨年より花粉が少なくなりますが、コロナウイルスやインフルエンザの時期と重なってマスク不足の日本では大問題になりそうです。
今回は、スギ花粉が減らない理由と、日本だけの病気であること、花粉症による死者などをまとめてみました。
花粉症とは
日本では1963年にブタクサが初めての「花粉症」として報告され、1964年にスギ花粉症が報告されました。
鼻の粘膜や目の結膜に花粉がつくと、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼のかゆみ・充血などの症状にかかります。
該当者はデータによっては国民の約30%、数字にして約4000万人にも上り、毎年増加しているのが現状です。
この花粉により、口腔アレルギー症候群(果実野菜過敏症)という果物や野菜を食べると口が痒くなる病気も増加しています。
そしてこの花粉症ですが、とっても治りづらいのです。
それでは何故、この症状が近年発見され、増えてきたのでしょうか?
戦後の植林の歴史
日本は戦時中、軍事物資として大量の木材が必要でした。
1940年代、家庭で使われるエネルギーの70%は森林から得られる木材からでした。
主要都市の木造住宅の被害もあったことから、とんでもない量の木材が山林から伐採されていたのがことの始まりです。
その結果、災害で台風による山地災害や水害が発生してしまいました。そこで、失われた木材を補おうと、国策で政府が植林を進めてきたのです。
また、高度経済成長期には木材需要が増加したので、比較的成長の早いスギが重宝されました。
1950年(昭和25年)からの「造林臨時措置法」をきっかけに、スギは大量に増え始めることになります。
上の図を御覧ください。1955年までは年間1億本以上のスギが植えられていました。
将来、大量の木材の需要があることを見越してのことだったに違いありません。
上の図は山行苗木という生産法で、今は下図のようなコンテナ苗木という低コスト化の方法が多くなっています。
1996年、国も花粉症を踏まえて花粉の出ないスギ(少花粉スギや無花粉スギ)を開発しました。しかし、その量は上図のようにまだ圧倒的に少ないものです。
何故これが少ないのかというと、単純に収益の見込みのない仕事であることや人手不足、植物の成長や生産過程に年数がかかる、といった要因のようです。結果として数年という単位では収まりそうにありません。
すべてのスギを植え替えるとするならば700年掛かるとも言われています。
2019年は図のデータまでは探しきれませんでしたが、約1600万本の花粉が出るスギを植えていたようです。
そのスギの伐採状況はというと、林野庁はこう答えています。
伐採した後は花粉の少ない苗木を植えるなどして、きちんと森林に戻していかなければ(はげ山のままでは)、水害や山地崩壊などの原因にもなりかねませんし、伐った木材は、建築用材などとして有効に利用することも重要です。(林野庁 森林・林業とスギ・ヒノキ花粉に関するQ&Aより)
つまり、日本のスギの合計本数は減っていないのです。
その他、スギの本数が減らない背景として、安い輸入材料との競合に負け、伐るのに採算が取れないといった事情など、放置されるしかなくなった理由は多々あります。
現在の植えた木々の大部分は使い道の困るゴミとして、むしろ税金を使って処分するしか方法がありません。
花粉症が無くならない理由
実はスギは樹齢25~30年を経たないと花粉を放出しません。だから、今植えているスギもまだあと25年は花粉を出さないのです。
だったら植えても大丈夫?そんなことはありません。
恐ろしいことにスギはその後100年間は花粉量が衰えない超絶な絶倫野郎だったのです。
どういうことか説明するために図を作りました。
まず、日本はこれだけスギを植えてきました。
年単位で数千万本クラスのスギがこれから花粉を増やしていくことがわかります。
これが累計になると、今いったい何本の人工的に植えられたスギが花粉を飛ばしているのか判明します。
おわかりいただけただろうか?
2020年は約25億本もの人工的に植えられたスギが、あなたを襲います!
これに加えて、自然発生していたスギも加わるわけですから、そりゃ病気がなくなるわけがありません。
ちなみにこんなことしているのは日本だけなので、これは日本固有の国民病なのです。
上図を信じることとすると、2055年以降にようやくスギ花粉が減少していくのだと思われます。
でも、そんなに待っていられませんよね。
それでは花粉症はどうやって対策していったらいいのでしょうか。
花粉症の対策
まず花粉の時期を知りましょう。
(花粉の時期はいつから・いつまで?~花粉カレンダー~ の中部版より引用)
これからスギ→ヒノキコンボの時期ですね。暑い時期には花粉はないようです。
すぐできる花粉対策
その時期のよく言われている対策が以下のようなものです。
- 服などに花粉がつかないように気をつける
- 花粉が鼻や目に入らないようにする
- 花粉症の症状がどうしたら緩和されるのか探す
田舎に住んでいる僕からしたら、①や②はどうやるんだよ、って感じですが、こんなイメージなのでしょうか。
むしろこれ以外わからないし、ダースベーダーのマスクとかも有効なんじゃないかって思ってます。
他にはエアーシャワーとかの設備整えるとかかな・・・?
冗談はさておき、静電気防止対策をする、衣類の花粉を家に持ち込まない、マスクをする、メガネをするなど様々な方法があります。
洗濯物とか空気清浄機とか、よく耳にするようになりましたね。
そして今は薬で対応している人も多いですよね。
Twitterではこんな投稿もありました。
花粉症対策の養生でとっても大事なのが、冷たいもの、生もの、砂糖たっぷり甘いお菓子(菓子パン含む)を控えること。
花粉から体を守る衛気(えき)を作っているのは、消化を担う脾です。ここが弱るととにかくなんにも出来ません。
脾を弱らせるのは上記のような食べ物です。控えましょう。
— 櫻井 大典 / ゆるい漢方をお伝えします (@PandaKanpo) January 13, 2020
これ以外にも、小麦粉も控えて改善したと言っている方もみえました。
砂糖断ちは血液のドロドロを改善するのでけっこう効果あるようですね
これは手の届きやすい対策法ですが、もっと効果的な対策法もあります。
花粉症の治療法
- レーザー治療
- 皮下・舌下免疫療法
- 内服点鼻療法
病気なのでやっぱり治療です。
各々、治療の方法は病院での通院が必要になります。
レーザーは短期での通院、皮下は注射、舌下は毎日の服用、内服点鼻薬は文字の通り服用薬が必要です。
しかしこれも一時的なものばかりで永続のものはありません。
唯一、対花粉症で最も有効かつ根本的に鼻水やくしゃみ、
目のかゆみが止められる方法を僕は知っています。
それは花粉のない場所に行くことです。
ふざけるな?ふざけてません大真面目です。
避粉地という言葉をご存知でしょうか?
実は花粉のまったく存在しない場所があるのです。
避粉地~スギ花粉編~
実はスギというのは、日本の固有種で、他の国は日本より少ない、もしくは全くありません。
つまり答えは海外へ行く、になるんですけど非現実的ですよね。
であれば国内でそんな場所はどこか!というとそれは沖縄になります。
上の表でお気づきの方もおられるかもしれませんが、暑いとスギは花粉を飛ばしません。
なので、常夏の場所か、スギを積極的に植えていない北海道・沖縄・離島が最高の土地となります。
花粉症のためのツアー旅行も増えているみたいなので、死にそうな方はぜひ一度調べてみてください。
国の対策
国が行っている花粉対策の1つに、カビを用いたものがあります。
そのカビは日本に元からいる種で、アレルギー元のスギの雄しべの花粉だけを餌に繁殖するとのことです。
2022年度まで力を入れて林野庁が予算を割いて研究しているとのことですがはてさて。
実用化はさらに10年はかかると言われており、その効果にあやかれるのは次世代となりそうですね。
花粉の量の特徴
実はスギ花粉も毎年、量が多くなったり少なくなったりするのに法則があります。
前年の夏の気候に影響され、以下のような条件で多くなる傾向があります。
- 気温が高い
- 日照時間が多い
- 雨が少ない
逆に言うと、夏の気温が低く、曇か雨ばかりが続くと翌年のスギ花粉は少なくなるのです。
飛散の多い年の翌年の飛散量が少なくなる年を「裏年」、少なかった翌年に多くなる年を「表年」と言う専門用語もあるようですが、花粉に関してはあまり馴染みがありませんね。
これらは毎年交互になるとのことですが、最近はけっこうグチャグチャなようです。
気がついたのですが、これ毎年花粉量が多くなっていたら毎年「表年」になりますね。
その花粉量に関しては各計測地点での花粉量報告があり、その土地によって結果はバラバラです。
わかっていることは、花粉を生み出すスギはしばらく増え続けるということだけです。
冒頭の17496倍もあながち嘘じゃなかったりして・・・。
しかし、2020年は全国的に昨年比で少なめとなると予想されています。
花粉で死亡したケース
記憶に新しい人もいるのではないでしょうか。
2017年4月、愛媛県今治市で、男性ドライバーがくしゃみを連発してハンドル操作を誤り、追突事故を起こし3人が死傷しました。
しかし、運転の仕事で眠くなる薬の使用はご法度です。
それでも防げない人がいるのに、この男性は仕事をやらないしか選択肢がありませんでした。
重症化はなくても、注意が逸れるというだけでこのように重大な事故につながるケースはあります。
自分がかかってないからといって、軽視しないでください。
単なるストレス要因としても厄介で、患者にとっては耐え難いものなのです。
花粉患者が増えた理由について
その背景にはスギが増えているから、と僕はここまで示してきました。
けれど、それ以外にも問題は潜んでいます。
- 大気汚染による影響
- タンパク質などの過剰摂取によるアレルギー発症確率上昇
- ストレス社会での影響
- 清潔を求めた代償としての免疫力低下
(エネフロ Vol.25 辛い!花粉症対策最前線 より一部改変)
こんなこと言い始めたらキリがないですが、少なからず影響はあるはずです。
花粉症は老若男女問わず掛かっているというデータもあります。
今後拡大するであろうこの花粉とどうやって付き合っていくかは日本の課題の1つとなりそうです。
今日のスギ花粉まとめ
- 花粉症患者は年々増加している
- 杉の木は戦後から政策として増やされてきた
- 伐採していないから数十年はスギ花粉は増加するしかない
- 日本の固有種なので国民病であり、海外では見られない
- 対策は地道なものが多いが、避粉地へ行くのがおすすめ
- 国策で一応頑張っている
この国においては、花粉症でない人こそ、このような知識を持って該当者のことを慮るべきと僕は考えます。
軽度の花粉症でも不快感・・・生活の快適さの著しい低下は甚だしいものです。
体質改善などで自然回復することもあるそうですが、そうなった人は少ないようです。
今後、より多くの人が感染するだろう病気ですので、理解を深めて、相手の気持ちを思いやれる行動を取りたいものです。
国民病として嫌われているスギの花粉の発生源を毎年何千万本も植えてるなんて・・・変だよ日本!
参考サイト
戦争で大量の木材が消えた…日本全国が「スギ」だらけになった理由
花粉症の軽減策「少花粉スギ」「無花粉スギ」の植え替えはなぜ進まないのか?林野庁に聞いた